松聲閣のご案内
この建物は、松聲閣と呼ばれ、旧熊本藩細川家下屋敷のあったこの地で、細川家の学問所として使用されていたようです。大正時代に改修を行い、一時期は細川家の住まいとして使用されていました。現在の建物は、歴史性を活かして保存・修復を行うとともに、耐震性を確保し、平成28年にリニューアルオープンしました。
肥後六花
それぞれの部屋には、肥後六花にちなんだ名前がつけられています。肥後六花とは、江戸時代から品種改良を重ねてきた熊本独特の花で、肥後菊、肥後椿、肥後山茶花、肥後花菖蒲、肥後朝顔、肥後芍薬の6つの花です。
細川家8代重賢公のときに、武士のたしなみとして始められたもので、各々に花連と呼ぶ保存団体があり、門外不出として現在に伝えられています。熊本城竹の丸の肥後名花園では、折々のシーズンにこれらの花を楽しむことができます。また、肥後細川庭園でも6つの花のうち4つ(肥後椿、肥後芍薬、肥後花菖蒲、肥後山茶花)を見ることができます。
龍鬢表
椿・菊・山茶花の部屋の床の間は、始めから黄金色をしており、普通の畳表の目より広くなっています。これは、熊本県のい草でできており、「龍鬢表」と言います。
い草の中でも、太く長い良質なものを選んで天日に干し、水につけては天日干しという作業を何度も繰り返します。こうすることで、い草が日に焼けて黄金色へと変化していきます。見た目の美しさに加えて、床の間に花瓶などを置いてできる部分的な経年の変色を防ぐ、先人の知恵です。